1. はじめに:いつも応援してくださる皆様へ
こんにちは、「しーげる🐧」です。 いつも発信をご覧いただき、本当にありがとうございます。
これまで「割安さ(バリュー)」を追求するネットネット株投資法を研究し、発信してきました。
今この記事を読んでくださっている方の多くは、そうした考え方や分析を信頼し、フォローしてくださった方々だと思います。
今日は、その皆様に対して、投資方針の大きな変更について、ご報告したいと思い、この記事を書いています。
結論からお伝えします。
今後、投資の軸足を日本の「ネットネット株」から、欧米の「連続増配株投資」へ移すことに決めました。
2. なぜ、今になって方針を変えるのか

「あれほど割安株を追求していたのに、なぜ今?」

「ネットネット株投資は、もうダメだということ?」
当然、そう思われることでしょう。
これは、決して過去の考え方を否定するものではありません。 そうではなく、私たちが直面している「時代が変わってしまった」という現実に対して、投資家としてどう対応するのがベストなのかを、真剣に考え抜いた結果です。
その「時代の変化」とは、皆様も日々肌で感じていらっしゃる、「インフレ(物価高)」と「円安(円の価値が下がること)」の2つです。
3. なぜネットネット株(日本株)では難しいのか
グレアムの「財務諸表を読み解き、企業の資産価値に着目する」という分析アプローチは、今でも投資の基本として尊重しています。事実、日本が「デフレ」だった時代には、この戦略は非常に有効でした。
しかし、この「インフレ・円安」の環境下では、ネットネット株に『資産を守る』という役割を期待するには、以下の2つの逆風が強すぎると判断しました。
インフレによる逆風: ネットネット株の価値の源泉は、企業が持つ「現金」です。しかしインフレは、その「現金」の価値を(何もしなければ)毎日少しずつ減らしていきます。
円安による逆風: ほとんどのネットネット株は日本の企業で、その資産は「円建て」です。円安が進むということは、世界的に見た場合、その「円建て資産」の実質的な価値が目減りしてしまうことを意味します。
もちろん、個別企業の解散価値に着目するアプローチは引き続き有効であり、ポートフォリオの一部として維持する価値はあります。しかし、デフレ下では『守り』として最強だった戦略が、資産全体の『軸足』としてインフレや円安から資産全体を守る役割を任せるには、力不足になってきたと感じています。
4. 「オルカン(全世界株式)」ではダメなのか?
「日本株(ネットネット株)がダメなら、素直にオルカン(全世界株式)やS&P500のインデックスファンドで良いのでは?」という意見もあると思います。
正直に申し上げますと、個人ポートフォリオの一部で、オルカンに類似した投資信託(日本を除く先進国株式)は保有しています。 「平均点」を取りに行くための解として、非常に優れていると思うからです。
しかし、これを資産の「軸」に据えることには、どうしても気になる点が2つあります。
懸念1:中身が特定のIT大企業に偏りすぎている オルカンは「全世界」といっても、「時価総額加重平均」という仕組みです。これは、今の世界で一番時価総額が大きい会社(米国のIT大手など)を、一番たくさん買う仕組みです。 「分散」しているつもりでも、実態としてはこれら数社の業績にポートフォリオ全体が大きく左右されるリスクがある、ということです。
懸念2:構造的に『高値掴み』の傾向を内包している 時価総額加重は、「今一番人気があり、割高になっているもの」の比率が最大化される仕組みとも言えます。 ITバブル(2000年)や日本株バブル(1989年)の頂点でも、インデックスは最も割高な銘柄を最大比率で組み入れていました。また、ある銘柄が新たに指数に採用されると、世界中のファンドが機械的に買いを入れるため、採用決定後に価格が上昇しやすい傾向があります。その結果、インデックスファンドはその銘柄を『少し割高になった価格』で買うことになりやすい、という構造的な問題を指摘する声もあります。
「平均点」は取れても、これが「最適解」とは言えないのではないか、というのが現在の考えです。
5. 海外の「連続増配株」を選ぶ理由
そこで、いろいろと考えた末に「軸」として選ぶことにしたのが、海外の「連続増配株」投資です。
この方法は「人気(時価総額)」ではなく、「質」で銘柄を選びます。
インフレに強い: 「価格決定権」を持つ企業(例:コカ・コーラなど)は、物価が上がっても製品を値上げでき、利益と配当を増やし続けられる力があります。
円安に強い: これらの海外のグローバル企業は世界中で「ドル建て」で稼いでいます。その株を保有することは、円安(円の価値低下)から資産を守ることに繋がります。
「高値掴み」を避けやすい: 人気のIT大手に集中投資するのではなく、生活必需品やヘルスケアなど、「時代が変わっても人々が必要とし続ける」ビジネスに手堅く分散されます。
「インフレ・円安」に対応しつつ、「バブル的な高値掴み」のリスクも避けること。
これが、今の日本で暮らす上で、一番合理的で『最適解』に近いのではないか、と判断しました。 もちろん、連続増配株投資にもリスクはあります。例えば、急激な金利上昇局面では債券に対して不利になることもありますし、個別企業の業績悪化による減配リスクもゼロではありません。
しかし、それらのリスクを考慮してもなお、『インフレ・円安』という現在の大きな課題に対応しつつ、『ITバブル的な高値掴み』を避ける戦略として、最もバランスが取れていると確信しています
6. 新しいブログ『増配株のミライ』について
この「海外連続増配株」への投資を、具体的に実践し、その過程を記録していく場所として、この度、新しいブログ『増配株のミライ』を立ち上げました。
このブログは、ネットネット株への投資体験を経て、この新しい環境に対する「最適解」として海外連続増配株投資を実践していくプロセスを公開する場です。
そして、その実践のため、あえて日本の証券会社(特定口座)の利便性を手放し、グローバル標準の「IB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)」をメインツールとして使っていきます。
※ なぜ、あえて使い慣れた日本の証券会社ではなく、ハードルが高いとされるIB証券を選ぶのか。そこには、連続増配株投資のパフォーマンスを最大化するための『決定的な理由』があります。詳しくは後日公開する記事でご説明します。
7. これからについて
これまで、ネットネット株に関する分析を信頼し、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
これから、投資対象や戦略は大きく変わります。
ですが、「物事の本質を自分なりに考え抜き、自分の言葉で発信する」という基本的な姿勢は、これからも変わりません。
もし、皆様が「インフレ」や「円安」に問題意識をお持ちで、この新しい挑戦にも興味を持っていただけるようでしたら、ぜひ、新しいブログ『増配株のミライ』にもお越しいただけると嬉しいです。
2025年10月31日 しーげる🐧
