「国内証券で十分」という“常識”への問い

こんにちは、しーげる🐧です。
突然ですが、皆さんが「海外株投資」を始めようとするとき、どの証券会社を選びますか?
おそらく、SBI証券や楽天証券、マネックス証券といった、使い慣れた国内のネット証券を選ぶ方がほとんどだと思います。
UI(操作画面)が使いやすい
特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告も不要で快適だ
これは、多くの人にとっての「常識的な正解」です。
しかし、私はその「快適な常識」を選びません。
私は、あえてUIが複雑で、初心者向けとは言えず、おまけに「確定申告」という非常に面倒な手間が毎年発生する「IB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)」を、投資の主戦場としています。
「なぜ、わざわざそんな面倒なことを?」
「SBI証券でも楽天証券でもマネックス証券でも米国株は買える。それで十分ではないのか?」
「確定申告の手間を、本気で考えているのか?」
皆様の疑問は、ごもっともです。
しかし、私の投資戦略(インフレ・円安の時代を『海外連続増配株』で乗り切る)において、国内の証券会社には『3つの決定的な制約』があるのです。
国内証券の「快適さ」と引き換えに失う『3つの制約』は、私の投資戦略において致命的です。
そのため、私はあえて『面倒さ』という対価を支払い、「最適解」であるIB証券を選んでいます。
その「3つの理由」を、これから徹底的に解説します。
【理由1】圧倒的な「投資商品の自由度」〜国内証券では、そもそも『本当に欲しいモノ』が買えない
第一の理由は、国内の証券会社(SBI, 楽天など)では、私が本当に投資したい銘柄が買えない、というシンプルな事実です。
国内証券で買える海外株は、実質的に「米国株」か「米国上場ETF」が中心です。
しかし、連続増配株を始めとする「真の優良企業」は、米国だけに存在するわけではありません。 私の戦略の核となるのは、米国のハイテク株とは異なる値動きをする、本質的な分散先です。
🇨🇭 ネスレ (NESN)(スイス・CHF建て)
🇫🇷 サノフィ (SAN)(フランス・EUR建て)
🇫🇷 LVMH (MC)(フランス・EUR建て)
これらの「欧州優良株」は、国内証券の特定口座では(ほぼ)買えません。
IB証券は、スイス取引所、ユーロネクスト・パリなど、各国の取引所に「現地通貨で」直接アクセスできる、日本では(ほぼ)唯一の選択肢です。
確かに、一部の外資系証券(サクソバンク証券)や大手対面証券(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)でも欧州株を購入すること自体は可能です。しかし、それらは為替や売買の手数料面でIB証券に大きく見劣りします。
「証券会社が“用意してくれた”商品」から選ぶのではなく、「自分が“本当に投資したい”優良企業」を全世界から選ぶため。
これこそが、私が面倒さを乗り越えてIB証券を選ぶ、第一の理由です。
【理由2】「コスト構造」の圧倒的な優位性〜「為替手数料0円」の“罠”と、本当のコスト
「コスト」を比較する際、国内証券各社が「米ドル為替手数料0円!」とアピールするため、そこだけに目が行きがちです。
しかし、私たちが支払う「本当のコスト」は、以下の2つの「合計」で見る必要があります。
本当のコスト = ① 為替手数料 + ② 売買手数料
この「本当のコスト」で比較すると、国内証券がいかに(特に欧米株投資において)不利であるかが明確になります。
A:【米国株】のコスト比較
まず、両社が競合する「米国株」で比較します。
▼ 主要ネット証券(SBI等)とIB証券のコスト構造
| 証券会社 | ① 為替手数料(米ドル) | ② 売買手数料(米国株) |
|---|---|---|
| 国内証券 (SBI等) | 0円 | 約定代金の 0.495% (上限22ドル) |
| IB証券 | ほぼ 0円 | 1株あたり 0.005ドル (最低1ドル) |
分析:一見すると、どちらも為替手数料は「0円」で同じに見えます。勝負を決めるのは「② 売買手数料」です。
- 国内証券は「取引金額(ドル)」に連動する「パーセンテージ(%)」の手数料です。
- IB証券は「取引株数(株)」に連動する「固定額(ドル)」の手数料です。
▼ モデルケースで「本当のコスト」を比較
では、実際に投資した場合の「本当のコスト」を見てみましょう。
| モデルケース | 国内証券(SBI等)のコスト | IB証券のコスト |
|---|---|---|
| ケース1: 50万円(約$3,333)分の株を買う | 0円 + ($3,333 × 0.495%) = $16.50 | ほぼ0円 + (最低$1.00) = $1.00 |
| ケース2: 100万円(約$6,666)分の株を買う | 0円 + ($6,666 × 0.495% = $33) → $22.00 (上限適用) | ほぼ0円 + (最低$1.00) = $1.00 |
| ケース3: 1株75万円($5,000)の高額な株を「1株」買う | 0円 + ($5,000 × 0.495%) → $22.00 (上限適用) | ほぼ0円 + (1株 × $0.005) → $1.00 (最低適用) |
結論(米国株):
国内証券は、約定代金が4,444ドル(約66万円)を超えると、手数料は必ず22ドル(上限)に達します。一方、IB証券の手数料は「株数連動」(1株0.005ドル、最低1ドル)です。
増配株投資で扱うような優良株(例:1株100ドル)の場合を考えてみましょう。
たとえ100万円(約6,666ドル)分を一度に買っても、株数は約66株です。
このケース(約66株、約6,666ドル)で手数料を比較すると、
- 国内証券: $22$(上限が適用される)
- IB証券: $1$(最低手数料が適用される ※200株以下のため)
となり、コスト差は歴然です。
結論として、一度にまとまった金額を取引すればするほど(そして、それが株価の高い優良株であるほど)、IB証券のコスト優位性が際立ちます。
B:【欧州株(多通貨)】のコスト比較
そして、ここが私の戦略における「決定的」な差です。
欧米連続増配株投資は、コカ・コーラ(米)のような米国企業だけでなく、ネスレ(スイス)やロレアル(仏)のような優良な欧州企業も投資対象とします。
▼ 国内証券 vs IB証券(欧州株・多通貨)
| 比較項目 | 国内証券(SBI, 楽天など) | IB証券 |
|---|---|---|
| 欧州株の取扱 | 取扱なし | 豊富にあり |
| ① 為替手数料 (EUR, CHF) | 割高 (例: 1EURあたり50銭など) (英国ポンドやスイスフランの取扱なし) | ほぼ 0円 |
| ② 売買手数料 (欧州株) | 取扱なし | 安価 (例: スイス株は取引額の0.05%) |
結論(欧州株):
私の投資戦略(欧州株を含む多通貨での分散投資)において、国内の大手ネット証券は「コスト以前に商品がない(戦えない)」という結論になります。
仮に欧州株を扱う他の証券会社(サクソバンク証券など)を使ったとしても、「ユーロ」や「スイスフラン」の両替コスト(為替スプレッド)が割高です。
【コストの総括】
IB証券を選ぶ理由は、「本当のコスト」で見た場合に圧倒的な優位性があるからです。
【米国株】: 「売買手数料」が(国内証券の上限22ドルに対し)最低1ドルと激安。
【欧州株】: 「多通貨(EUR, CHF)の為替手数料」がほぼ0円であり、かつ国内証券では「買えない銘柄」が買える。
このコスト面での優位性こそが、IB証券を使う第二の理由です。
【理由3】資産保管の「グローバルな堅牢性」〜「どこで」資産を持つか、という分散の視点
第三の理由は、資産の「置き場所」に関するリスク管理です。
SBI、楽天、マネックス…どの国内証券を使っても、それは日本の金融システム(国内の法律、決済網、保管振替機構)に100%依存していることを意味します。
これは「日本が危ない」という話ではありません。 投資のセオリーとして、「一つのシステムに依存しすぎない」ことは、リスク管理の基本である、という話です。
IB証券の口座は、グローバルな親会社(米国のインタラクティブ・ブローカーズ・グループ)が提供する、強固なシステム基盤で管理されます。
これは、資産を置く「インフラ(場所)」そのものを、国内システムとは“質的”に異なるグローバルな基盤へ分散させるということです。
万が一の際にも影響を受けにくい「システム的な堅牢性」を確保し、「代替手段」を持つこと。これが第三の理由です。
結論:「快適さ」より「最適解」を選ぶ合理性
もう一度、IB証券のデメリットを直視しましょう。
まず、 UIは複雑で、お世辞にも「快適」とは言えません。 そして何より、「確定申告」がこの上なく面倒です。
しかし、その「面倒さ」は、支払うべき“合理的な対価”です。
私は、目先の「快適さ」や「楽(ラク)」と引き換えに、以下の「究極のリターン」を得るために、その対価を払います。
【自由度】 国内証券では絶対に買えない「欧州優良株」に投資できる
【コスト】 「売買手数料」と「多通貨(EUR, CHF)為替」を含めた“真”の低コスト
【堅牢性】 国内システムとは「別軸」のグローバルな資産保管
皆さんは「快適さ」と引き換えに、「制限された商品」と「割高なコスト」を受け入れ続けますか?
それとも、その「面倒さ」をあえて受け入れ、「真の最適解」を追求しますか?
このブログ『増配株のミライ』は、その「最適解」を追求する、私のリアルな実践の場です。 次回は、このIB証券を使って「具体的に何を買っているのか」、最初の銘柄分析(サンプル)をお見せします。
